妊娠すると少しずつ大きくなってくるおなか。
触ったり話しかけたりして幸せな時間を満喫できる時期ですが、気になるのは「妊娠線」です。
おなかがどんどん大きくなるにつれて、皮膚の伸びに真皮や皮下組織が追い付かずにひび割れができてしまうものです。
妊娠線予防と聞くと、高価な妊娠線専用クリームを思い浮かべる方も多いかもしれません。
でも大事なのは、1に「体重管理」、2に「こまめな保湿」。
特別なクリームは必要ないんです。

化粧品開発者の端くれとして、妊娠線クリームは企業の刷り込みが強すぎると感じています。
実際、私は高級クリームを一切使わなかったけど、第一子・第二子ともに妊娠線はできませんでした!
今回は、妊娠線予防クリームって本当に必要?妊娠線予防にそこまでお金をかけたくない!そんな方に向けて、化粧品開発者である私のリアルな考えと実際に使ってよかったシンプルな保湿剤をご紹介します。
「こまめな保湿」も大事、でも「緩やかな体重増加」はもっと大事
妊娠線は、おなかの皮膚の急激な伸びに真皮や皮下組織がついていけずに裂けてできるもの。
予防の基本は急激な体重増加を避けることです。
体重増加を緩やかなら、おはかの皮膚もゆっくり伸び、真皮や皮下組織も裂けずに徐々に伸びることができます。
「妊娠線予防にはクリーム」という宣伝が多いですが、体重管理に勝るものはありません。
なぜクリームでは防げないのか?
それは妊娠線で割れてしまう真皮や皮下組織には、妊娠線予防クリームが届かないからです。
肌のバリア機能は非常に優秀で、肌に付いたものが簡単に真皮や皮下組織に到達できないようになっています。

だって、油性ペンが指について簡単に真皮に入ってしまったら、ずっと取れませんよね。
皮膚の表面でとどまってくれるから、剥がれ落ちて自然に消えていくんです。
つまり、どんなに表面にクリームを塗っても妊娠線で割れてしまう真皮や皮下組織に届かないので、妊娠線そのもの防げる成分はありません。
ただし、クリームで皮膚表面の乾燥を防ぐことはできます。
かゆみやガサガサの予防に役立つので、こまめな保湿はやっぱり重要です。
「高級クリーム神話」に振り回されないで
皮膚表面の乾燥を防ぐという点では、高級なクリームを1日1回塗るより、安くてもいいからこまめに塗る方がよっぽど効果的です。
高級クリームが悪いわけではありませんが、「保湿」という観点ではオーバースペックなことも多いです。
大事なのは、皮膚表面からの水分の蒸発を抑え乾燥を防ぐことです。
一撃で乾燥を防ぐ成分はないので、安くて使いやすいものを地道にコツコツ塗り続けるのが重要です。
商品選びのポイント
化粧品開発者の視点から、商品選びのポイントを3つご紹介します。
シンプルな成分組成のものを選ぼう
最近の保湿剤は美白やシミ予防などの成分が入っているものも多いですが、妊娠中は肌が敏感になりやすいため、トラブルが起こることも。
あれこれ欲張らず、シンプルに保湿できるものを選ぶのが安心です。
香りに敏感な人は無香料一択
つわりの時期は特に香りに敏感になります。
妊娠前に好きだった香りが急に苦手になることも多いので、無香料タイプを選ぶと安心です。
自分の好きな使用感のものを選んで
おなか・胸・太ももなど、保湿剤を塗る範囲はとにかく広いです。
ワセリンやバームなどの固形タイプはしっかり保湿できますが伸ばすのが大変。
その点、ボディミルクやボディローションなど、スルッと伸びるタイプは使いやすいです。
保湿力は比較的低めですが、こまめに塗りなおせば大丈夫。
自分の好きな使用感のものを選ぶようにしましょう。
防腐剤フリーはむしろ「入っていてほしい」
「防腐剤フリーが安心」と思いがちですが、実は防腐剤が全く入っていないと雑菌が繁殖しやすくなり逆効果。
むしろ、安全性の高い防腐剤がきちんと入っている商品の方が、日々のケアには安心です。
※防腐剤は水分が含まれるクリームやローションに添加されています。オイル系の保湿剤には入っていないことも多いですが、心配しなくて大丈夫です。
妊娠中おすすめ保湿剤3選
ここからは化粧品開発者である私が実際に使っていた保湿剤をご紹介します。
無香料のベビーオイル
一番使っていたのはこれです。
しっかり保湿できて伸びが良く、広範囲に使いやすいです。
ただし、服に付くとシミになりやすいため、塗った後は軽く拭くか、汚れてもいい肌着を来てから服を着るのがおすすめ。
ワセリン
乾燥が特に気になる冬場にはワセリンを使っていました。
ベビーオイルよりもさらにしっかり保湿できます。
日本薬局方のワセリンは大容量入っているのでおすすめです。
ただし、広範囲に塗るにはちょっと固めです。
コスパは劣りますが、ピジョンのベビーワセリンなら伸びがいいので、日本薬局方のワセリンは固すぎて好きじゃないという方にはおすすめです。
ワセリンも服に付くと落ちにくいので、使用後はタオルで軽く拭くか、汚れてもいい肌着を1枚挟むようにすると安心です。
妊娠線専用ではない普通の保湿ローション
夏場やお風呂上りには、ベビーオイルやワセリンが少し重く感じます。
そんな時はビオレのうるおいミルクを使っていました。
伸びがよくさらっとしていて、塗った後もさっぱりするので、暑い季節には重宝しました。
ただし、保湿力という面ではベビーオイルやワセリンよりは低めなので、こまめに塗りなおすようにしましょう。
結論:成分にこだわりすぎるより「使い心地重視」で!
妊娠線専用クリームは、3,000円〜5,000円するものも多いですが、妊娠線の原因である真皮や皮下組織には届きません。
本気で妊娠線を予防するためには、まず体重管理を徹底し真皮や皮下組織の割れを防ぎましょう。
皮膚の乾燥やかゆみ防止には特別な妊娠線クリームは不要。
使用感が好きで続けやすい価格のものを選び、こまめに塗りなおすことが重要です。
自分に合ったアイテムで、無理なく、毎日、気持ちよく続けられるケアを見つけましょう。